定年退職し再雇用する方の給料はどうすればよいか?

4月から、60歳で定年退職する人が再雇用を希望した場合、再雇用する人の給与はどうすればよいか?ということについて考えてみました。

2012年度に定年退職される方は、60歳から年金が一部もらえますが、2013年度に60歳で定年退職する人は、61歳になるまで年金がもらえないので、再雇用するときの給与は、その点を考慮しないといけません。

「退職後の給与を退職前の給与の6割にするとよい」とよく言われていますが、これは、従業員の給与を6割に減らしても、実質、従業員の収入は、そんなに変わらず、会社の負担が減るからです。

ただ、これはあくまで、従業員が60歳から年金を一部もらえる場合の話です。

具体的に、どういうことかというと

2011年度に60歳になって2012年度から再雇用される人の場合、
60歳になると特別支給の老齢厚生年金の一部(報酬比例部分)がもらえます。

この人の年金が、月6万円、退職前の月給が30万円、退職前1年間のボーナスが
48万円とした場合、

退職後も、退職前と同じ給料、ボーナスがもらえるとすると年金の一部が支給停止
されます。(停止された分は、後でもらえるということはありません)

具体的には、

  (月給30万+4万(ボーナス48万÷12)+年金6万-28万)×1/2
  =6万円が支給停止されます。

つまり、給与30万円+年金6万円-支給停止6万円=30万円
 
年金が全然もらえず、前といっしょいうことになります。

退職後の給与を18万円、ボーナスはなしとした場合

 (月給18万円+4万円+年金6万円-28万円)×1/2=0円

年金は、支給停止されません。
 
さらに、退職後の給与が退職前の給与の61%以下なので、高年齢雇用継続基本給付金が15%支給されます。  
 
 18万円×0.15=2.7万円

そうすると退職後の収入は、
 給与18万円+年金6万円+給付金2.7万円=26.7万円

再雇用される方の月入は、3.3万円減りますが、退職前の給与に近い金額をもらうことができ、会社が払う給与は、30万円から18万円と12万円も会社の負担が減ります。

再雇用される社員が年金を一部でももらえると、うまく制度設計ができるのですが、
2013年度以降は、退職された社員がしばらく年金ももらえないので、こううまくいきません。
 
退職前の給与の6割を払い、残りは在職老齢年金と高年齢者雇用継続基本給付金というわけにはいかなくなるので、今後再雇用する方の給料をどうするか、非常に難しい問題です。