出産する女性を辞めさせたら損です!

女性従業員が妊娠して、出産することとなった場合、本人の申出により産前6週間は産前休暇、産後8週間は本人の申出に関係なく産後休暇をあたえなければなりませんが、本人から出産を機に退職したいという申し出があったとき、本人の希望どおり退職してもらっているということはありませんか?

 

確かに妊娠した従業員が産前・産後休暇をとり、その後1年間育児休業をされると、従業員の少ない会社では、残された社員で産休中の職員の仕事をカバーするのはかなり厳しいことになります。従って、出産される従業員に退職の希望があれば、辞めてもらって新しい職員を採用したいとこなのでしょうが、新たに職員を採用するということになると、採用コストが生じるということを念頭においておかなければなりません。

 

新たに職員を採用するには、お金の面は勿論、御社が望む社員が採用できるかという心配や、仮に採用できても採用後の訓練教育にかかるコストや労力を考えると、出産される職員が休んでいる間だけ代替で職員を雇い、子育てが終了後は復帰してもらうという選択肢も考慮すべきでしょう。

 

社会全体で子育てを支援していこうという流れの中で、出産や出産後の育児休暇については行政の支援措置が拡充されてきています。出産される職員を辞めさせることなく、行政の支援措置をうまく利用していきたいものです。

 

なお、産前産後休暇中及びそのご30日間は、労働基準法の定めにより、解雇することができませんのでご注意ください。

 

産前・産後期間中には、以下の助成措置がありますので、手続き漏れのないようご注意ください。

 

1 出産育児一時金

 健康保険や国民健康保険などの被保険者又はその被扶養者が出産したとき、出産に直接要する費用や出産前後の健診費用等の出産に要すべき費用の経済的負担の軽減を図るため、一児につき42万円が支給されます。

 なお、妊婦などが、加入する健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行う際、出産する医療機関等にその受け取りを委任することにより、医療機関等へ直接出産育児一時金が支給されるため、退院時に窓口で出産費用を支払う必要がなくなります。

 

2 出産手当金

 健康保険に加入している人が、出産のため会社などを休み、その間給料が支給されない場合や減額された場合、分娩の日以前42日目(多胎児の場合は98日目)から分娩の日の翌日以後56日までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。(分娩の日が分娩予定日より遅れた場合は、その日数分も受け取れます。)
 出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。(会社を休んだ期間について、事業主から報酬を受けられる場合、その額を控除した額が手当金として支給されますが、出産手当金より多い報酬が支給される場合は、手当金は支給されません。)

 

御社が健康保健に加入しているのであれば、出産される従業員には、出産育児一時金として42万円プラス給与の3分の2が出産手当金として本人に支給されますので、お休みしている社員も安心して出産できるということになります。