傷病手当金の注意点

傷病手当金の受給期間は、最長で給付開始後から1年6か月ですが、例えば、受給開始後2か月目で療養のために退職した場合、条件を満たせば、退職後も継続して受給することができます。病気やケガの療養のため仕事を辞めざるを得なくなったときも、しばらくの間は経済的不安を抱えることなく治療に専念することができます。

 

退職後は、医師の記入欄に労務ができない旨を証明してもらうことで申請でき、会社に記入してもらうところはありません。従って、ご本人が直接、協会けんぽに申請することになります。

 

なお、受給できる条件は次の2点です。

●退職日以前1年以上健康保険に加入していること
●退職日に休業していること

 

「1年以上健康保険に加入」は、同一の会社でなくても、A社を退職して引き続き(途切れることなく翌日から)B社に勤務し、合わせて1年以上の場合もOKです。ただし、A社、B社とも健康保険組合か協会けんぽに加入していないと通算はできません。公務員等の共済や国民健康保険や国保組合では、制度が違うので期間の通算はできません。退職後の継続給付を考える場合は、健康保険または共済の被保険者になってどのくらいの期間になるのか確認しておいてください。

 

また、2つ目の「退職日に休業していること」も大事な要件です。ケガや身体の病気など、継続して休業を要する場合では、休業の合間に出勤することはあまりないですが、うつ病などメンタルの不調で休業している場合、退職前に仕事の引き継ぎをしなければと無理をして出勤し、その日を最後に退職してしまった、などの場合がありえます。その場合、出勤日が退職日になってしまうため、条件を満たさないことになってしまいます。

退職日に出勤してしまったため、退職後、傷病手当金を受給できなくなった事例はよく聞きますので、注意してください。