最低賃金補助制度の利用が低調な理由

中小企業の賃金引上げを支援する「業務改善助成金」の利用実績が低調です。

 

新聞報道によると、石川県では、この助成金の利用は、昨年度は27社であったのに、今年度は8月末までで4社と前年同期の17社を大きく下回っています

 

この助成金は、中小企業が事業所内で最も低い時間給を4年以内に800円以上とする計画を作成し、1年目に賃金を40円以上引き上げ、労働能率を増進するために設備投資を行った場合、設備投資の2分の1を助成するものです。

 

政府は、来年度、1兆数千億規模の法人税の減税を予定しており、そのかわりに経済界トップにデフレ脱却のため、雇用の確保と賃上げを進めるよう要請しており、

 

厚生労働省の来年度予算の概算要求でも、「設備導入等の労働能率増進による賃金引上げを行う中小企業・小規模事業者の取り組みに対する助成措置を拡大する。」とあり、49億円の予算を要望(今年度予算32億円)しています。

 

助成措置の拡大内容はいまのところ不明ですが、予算枠の拡大以外に何らかの拡充措置がとられそうです。

 

石川労働局では、社会保険労務士会と協力し、制度の利用を促していくとのことですが、昨年度より利用実績が少ないということは、制度の周知不足というより制度そのものに使いづらいところがあり魅力が不足しているからではないでしょうか?

 

景気がよくなってきたといっても、事業所内の最低賃金が800円を下回る中小企業で固定的な賃金を上げるには、かなりの決断が必要だと思います。

 

2分の1を助成するといっても200万円の設備を導入すると100万円の持ち出しになります。設備の導入を以前から予定していた企業にとっては渡りに船でしょうが、この助成金がインセンティブになって賃金を引き上げ、設備を導入するには、例えば、補助率を2分の1から3分の2にするなど、さらに手厚い措置を講じていく必要があるのではと思います。